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ライブレポート :: Murphy's Law

ライブレポート : Murphy's Law

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2013年 5月 6日(月曜日) - Club Asia, Tokyo
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カメラマン : Guillaume Catella




凱旋――このバンドの来日にあたっては、そう表現することに首をひねる者はいないのではないか。数多のNYHCバンドの中でも最古参に位置づけられる、Murphy’s Lawの2年ぶりの来日。この日までに、盟友 Aggressive Dogs a.k.a UZI-ONEと共に、神戸、松山、佐世保、大分、山口、小倉、名古屋などの各都市をまわり、GW最終日となったこの日、渋谷エイジアにて本ツアーの天王山ともいえるショーが幕開かれた。
この日出演したバンドの多くは、他のイベントならば、トリを張るような十分な実績と知名度を誇るバンドたちばかりだが、この日に限っては早出も厭わず、それだけに層の厚さを物語る一夜だったのではないだろうか。
ここではライブフォトの撮影を行った、Murphy’s LawとAggressive Dogs a.k.a UZI-ONEのレポートを中心にお届けしたい。





Aggressive Dogs

世界的俳優・浅野忠信氏が率いるSAFARIによる狂騒乱舞なステージが終演し、いまだ会場内にざわめきが残る中、小倉太鼓と尺八が印象的な「Lycaon "大和魂" Style」(武士が決戦に向かう前の心境を見事に音楽で表現した曲「Lycaon's Den」に収録)が流れると会場内の雰囲気は一変する。会場内は水を打ったようにキンと静まり返り、隣のオーディエンスが飲み込む喉元の音まで聞こえてきそうなほどフロアは妙な緊張感に包まれる。ドラムセットの両隣には対なる甲冑が鎮座し、ステージ正面奥に掲げられた巨大なバンドフラッグは、オーディエンスの熱気によるものなのか、隙間風などないはずなのに、突如波打つようにはためきだす。




仄かな照明に照らされただけで、目を凝らすことでボンヤリと浮かんでくるステージ上では、楽器隊がフロアを背に、俯き加減で身じろぎ一つせず、「その時」を待つ。フロアに漂う緊張感は、呼吸をすることさえ満足にさせず、深海に引きずり込まれそうな息苦しさをオーディエンスに強いる。そして、その場から逃げ出したい衝動に襲われるまさにそのとき、歓声があたり一面を覆うのだ。薄暗い中を颯爽と現れ、オールバックが特徴のその男の整髪料だけが、微かな照明に映え、かろうじてその居場所を伝えてくれる。その男はいつも御旗に向かって祈りを捧げ、オーディエンスに対峙する。筆者はこれまでに幾度となくこのバンドのステージを目撃してきたが、いつもこの一連の流れにゾクゾクするほどのドラマティック性を感じ、身震いし、心奥深くの琴線を揺さぶられるのである。人間ひとりひとりが本来備える獣のような属性を解放させる場、というものがここにはある。




これほどまでに高揚感と期待感を植え付けられたオーディエンスは、当然水を得た魚の如し。一曲目「獅子吼」からフロアには渦巻くモッシュピットが発生し、ステージ袖からは関係者と思われる人物たちが続々とフロアへと躊躇なく飛び込んでいく。メタルコア特有の多色使いのライティングも、このバンドに限っては未晒の光源だけに絞ることで、ステージ上に陰影が生じ、奥行きを感じさせるステージングが醸成される。ただ、この日のライブはいつもとは少々趣が異なるものだった。そこには「進化」と「回顧」が潜んでいたともいえる。まずは「進化」という点だが、本ツアー中に、今やこのバンドの代表曲でもある「蒼き餓狼」のNEWバージョンが初めて披露されることとなった。




従来の楽曲に比べ、格段に凶暴性を増しつつも、オンオフの均整をはかり、より「今の音」に近づいた一曲だったように感じる。と同時に「回顧」という点では、ここ数年ではまず記憶にない、20年以上前の楽曲が数曲演奏されたことだろう。そこには1982年結成の九州ハードコアの先駆け的存在であるNO CUTが21年ぶりの復活を果たし、本ツアー中に4ヶ所でライブを行ってきたという伏線もあったが、「今の音」に慣れ親しんだファンにとっては新鮮な響きとして映ったに違いない。だが、そこには先ほどまでと何ら変わりなく体を揺らすオーディエンスの光景が広がっていたと追記しておく。
30年という年月は、音楽に携わる人間にとっては途方もない年月の積み重ねであろう。だがこのように、自らが辿ってきた軌跡に胸を張って堂々と向き合うことによって道は開けるのである。

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Murphy’s Law

そして長丁場となったこの日のトリがいよいよ登場する。2年ぶりの来日となるJIMMY Gが率いるMurphy’s Lawである。そのステージングは、まさに玉石混合のパーティタイムのようなものだった。ツアー疲れの影を微塵も感じさせず(前述のように、Murphy’s Lawは日本に降り立った翌日に神戸でライブをこなして以降、休息日もなく連日ハードなステージを消化してきている)、ステージが小さく感じられるほど隈なく動き回り、これぞNYHCの真髄ともいえるステージングを見せてくれた。名曲「BEER」の際には、今やお決まりになっているJIMMY Gによる500mlのビール缶をくわえ、それを噛み切り破裂させるというパフォーマンスもあり、オーディエンスの興奮は最高潮に達する。




ファンの女性をステージ上げたかと思うと、本ツアーのために特別にメンバーとして迎え入れたバンジョープレイヤー(アフリカ系アメリカ人が、アフリカのいくつかの楽器の特徴を取り入れて生み出した撥弦楽器。今日ではカントリーやブルーグラスで使用される)に聴き覚えのあるカントリーの楽曲をソロで弾くように促したり、はたまたSAXプレイヤーを引き連れてフロアに降り、オーディエンスに周辺を囲まれながら、即席の間奏を聴かせる。またこの日出演したアニマルズのトランペットのメンバーもそこに加勢し、もうこの時点ではなんでもありのパーティタイムへと変貌していた。これこそMurphy’s Lawであり、ハードコアという枠組みだけでは決して語られることのない、このバンドの本当の魅力に繋がっているのであろう。それは照明に照らされたオーディエンスひとりひとりの表情を見れば一目瞭然なのだ。




この日のライブの前、筆者は別の媒体用にJIMMY Gにインタビューを実施した。そうして面と向かって話を聞くのは何度目かの経験にはなるが、いつもステージ上での乱痴気な印象と、インタビューに答えてくれる紳士な姿に大きなギャップ感を感じている。そこにはあまりにも乖離した「何か」があるが、一方では共通する「何か」もあるような気がする。乖離した「何か」とは、生粋の音楽人としての本能であり、共通する「何か」は、関わるすべての人々を楽しませたいという懐の深さに起因するのではないか、と筆者は考えている。NYHCというスタイルをイチから興し育て、今や世界中でイチ音楽ジャンルとして確立されているという事実。その過程では決して外野が推し量ることのできない痛みや労苦を伴ってきたはずだ。だが、それでもなお一度の解散も経ず、こうしてステージに立ち続けるという厳然たる事実。それらすべてがJIMMY Gの人間性を形成する「何か」に繋がっているのであろう。だからこそ、このバンドのステージングを見ているとすべてが許せ、自然と笑顔になり、内なる心に活力が生まれるのである。この日だけではたして何人が、一時的でさえ救われたであろうか。Murphy’s Lawとは、そのようなバンドなのである。



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NanoRouxによる2013年 6月 11日
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